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立石大河亞展「音雷韻走査」

Tiger TATEISHI

Tiger TATEISHI

 

 

 

わたくしども山本現代にて、2011年1月8日から2月5日まで、 立石大河亞個展「音雷韻走査」を開催する運びとなりました。

今展では、94年作「音雷韻走査」、「大地球運河」、「情報守護神」を中心に、立石のポートレートが描き込まれた「富士のDNA」、故郷が描かれた「昭和二十一年筑豊之図」という大変貴重な作品を展示致します。

「音雷韻走査」、「大地球運河」、「情報守護神」は長らく企業のコレクション作品で一般公開されることのなかった作品でしたが、この度皆様にご紹介する機会を得ました。いずれも145.5×268.2cmの大作で、晩年の立石の円熟した画面構成と、「超古代と超未来が合体したような」世界が見事な逸品です。
「音雷韻走査」は、「登呂井富士」(1992)に描かれたような木馬を中心に、四方に抽象化された電子線が飛ぶ躍動的な作品です。中心の木馬はコントロールルームの中心に据えられたコンピュータの上に堂々と佇んでおり、コントロールルームの外側は地平線まで続くフラットな地平で、遠景には飛び跳ねる木馬たちが見られます。
画面の中には、立石がそれまでに描いた代表作が随所に描かれています。左上には「FUJI HIGH-WAY」(1992)、左下には「風神・雷神と幻燈の富士」(1991)、右下には「七転八虎」や、繰り返しモチーフとなった螺旋状の身体を持った虎などが見られます。このような自作の引用は立石の晩年の作品に顕著で、油彩、イラストレーション、陶芸のみならずマンガや絵本まで手がけた立石の“自在さ”がよく表れています。
「大地球運河」と「情報守護神」は、広々とした大地の広がりが印象的な作品です。
どちらの画面上にも、地平線の彼方に太陽がのぞいていますが、描かれている世界は全く別のものです。
「大地球運河」には、「音雷韻走査」のメインモチーフとして描かれた木馬と共に、キリン、大波、新幹線、などが描かれています。画面右手の山にはランプが生え、めくれ上がった大地の一部が虎に変容していたり、運河によって形作られた人工の大地にキリンのだまし絵が潜んでいるなど、視覚的な悦びに満ちた作品です。
「情報守護神」の作品のモチーフは“ガマ”です。このモチーフは93年に陶芸作品の中でよく探求されました。画面右手よりガマの大群が押し寄せてくる大胆な構図となっており、広がる大地にはナスカの地上絵が、右下にはマチュピチュが描かれています。また、太陽からは2本の白線と、「音雷韻走査」にも描かれている電子線が放たれており、連作として描かれた世界を繋いでいます。
これらの作品と共にご紹介します「富士のDNA」と「昭和二十一年筑豊之図」は、いずれも立石の作品群の中では特に重要な作品です。
富士のDNA」の中心に描かれているのは、立石自身と愛犬の姿です。生涯にわたってほとんど自身を描く事のなかった立石が、“天命を知る”歳になり描いた自身の姿は、虹色の画面、数十の螺旋としてほどけていく逆さ富士、DNAの構造模型、土偶、過去の作品らを全方位に並列しながらも、謎解きをしようとする私たちをあっけらかんと突き放します。
「昭和二十一年筑豊之図」は、1964年に故郷福岡県筑豊を描いた作品です。敗戦後の混乱期、炭鉱の町として栄えた筑豊は、文化の隆盛と労使の闘争という熱に覆われていました。この最中に生まれ育った作家が見つめた故郷が、画面にありありと描かれています。
この機会に是非ご高覧ください。