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ニコラ・ビュフ展「ポーリアの悪夢」

Nicolas BUFFE

ニコラ・ビュフ展「ポーリアの悪夢」

2014年5月31日(土)~6月28日(土)

オープニングレセプション:2014年5月31日(土) 18:00 – 20:00

わたくしども山本現代では、来る2014年5月31日から6月28日まで、ニコラ・ビュフ 「ポーリアの悪夢」を開催いたします。

ニコラ・ビュフは1978年パリに生まれ、東京を活動拠点にしている新進気鋭の作家です。日本や米国のサブカルチャー、ポップカルチャーに影響を受け育った彼は、フランスで放映された「宇宙刑事ギャバン」がきっかけで日本に興味を持ち、2007年に来日、以後東京で活動を続けています。
ヨーロッパの伝統的文化を背景に、自らが幼少期から影響を受けた現代のカルチャーを融合した作品で知られる彼は、日本国内では2008年のグループ展「屋上庭園」(東京都現代美術館、東京)の大壁画を制作、また同年、解体直前の在日フランス大使館旧庁舎で開催された日仏作家のグループ展「No Man’s Land 創造と破壊」(東京)で会場入り口のゲートを担当、パリ凱旋門と日本の寺社建築を引用した門構えに日本のキャラクターをちりばめ、文字通り日仏の文化を繋ぐ作品として、多くの来場者を迎えました。
また銀座メゾンエルメスのウィンドウ・ディスプレイ「赤ずきんのカレちゃん」(2010年)なども記憶にあたらしいところです。
更に2012年3月にはハイドン作オペラ「オルランド・パラディーノ」(シャトレ座、パリ)のアートディレクションを手がけ、同年の評論家協会による演劇・音楽・ダンス部門でのビジュアルデザイン最優秀賞を受賞いたしました。
以降もファッションブランドとのコラボレーションなど、美術フィールド以外での活動も多く、2014年2月にはコムデギャルソン・シャツがビュフのグラフィックを使用し、2014-15年秋冬コレクションを発表いたしました。

またご存知のとおり本年4月19日(土)からは、東京・原美術館で大規模な個展「ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢」が開催されています。
同展は15世紀末ヨーロッパの古典文学「ポリフィルス狂恋夢(ヒュプネロトマキア・ポリフィリ)」(*1)へのオマージュをもとに、主人公である少年ポリフィーロの夢と愛をめぐる冒険を、美術館全体に様々な作品を配置した大規模なインスタレーションとして展開するものです。

このたび私共で開催する本展「ポーリアの悪夢」は、ポリフィーロの恋人であるポーリアが自分の視点からポリフィーロの恋の戦いを語る、「ポリフィルス狂恋夢」の第二巻にちなんで構成されます。これは夢の中の夢(=一種の悪夢)の物語で、本編とも入れ子のような構造になっています。

出品作品には、パリのイデムとの協同による新作版画作品や、「宇宙刑事ギャバン」から着想を得た作品、ウォールドローイングのシリーズ、また他に立体作品の発表を予定しております。
ヨーロッパ古典文学を題材に、ニコラ・ビュフ自身にとってリアリティのある、現代のポップカルチャーからの引用によるキャラクターとの融合という独特の作品とその試みは、世代や時代、東西の垣根を軽やかに越えたものとなるでしょう。
なお、本展は同時期開催の原美術館の展覧会「ポリフィーロの夢」に対する「ポーリアの悪夢」と位置づけられており、原美術館とは趣の違う展覧会でありながら、同時にお互いがお互いを補完するものとなる予定です。また4月24日から6月1日まで東京・飯田橋のアンスティチュ・フランセにて、原美術館の個展構想資料をあつめた展覧会「ポリフィーロの手帳」も予定されています。この機会に3つの展覧会をあわせてご高覧いただければ幸いです。

*1 「ポリフィルス狂恋夢(ヒュプネロトマキア・ポリフィリ)」
1499年ヴェネツィアで初版。修道士フランチェスコ・コロンナによる著作といわれる。男性の主人公ポリフィーロが夢の中で恋人ポーリアを探して森を彷徨い、冒険のなかで様々な生き物や建築に遭遇する。やがてポリフィーロはポーリアと再会し、ヴィーナスの祝福のもとに二人は結ばれるのだが、最後にポリフィーロの夢が覚め、物語は結末を迎える。アレゴリーに満ちた不可思議なストーリーだけでなく、印刷史最初期の出版物のなかでも、特に緻密で華麗な木版画の挿絵で名高い。邦訳題「ポリフィルス狂恋夢」は澁澤龍彦によるもの。

ポーリアの悪夢

「ポリフィーロの狂恋夢(ヒュプネロトマキア・ポリフィリ)」は異なるトーンの二つの書から構成されている。建築的記述の多い第一の書では、主人公ポリフィーロが夢のなかで恋するポーリアを探す冒険が展開し、第二の書ではいくつかの話が入れ子構造の夢のようにかさなり、ポリフィーロとポーリアのラブストーリーが語られる。ポーリアはポリフィーロに自らの冒険や悪夢のことを話すのだが、最終的に読者はこの第二巻が第一巻の夢のなかの夢にすぎなかったことに気づくことになる。ポリフィーロが夢から目覚めると同時に、ポーリアは消えてしまうのだ。
今回の山本現代の個展「ポーリアの悪夢」は、原美術館で開催される個展「ポリフィーロの夢」と言葉遊びのようなかたちで呼応している。そして、夢のもう一つの層をさぐるものになればと思っている。

 

 

 

Nicolas BUFFE

 

 

 

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